3月も半ばになり,そろそろ北西部の雪も大丈夫かな…ということで行ってきました。(広島県の北西部は県内では随一の積雪地帯でスキー場も点在しています。)
まずは発電用アースダムの飯ノ山ダム(場所)
公認ダムめぐりでは最後のアースダムです。
アクセスは中国道吉和ICが最寄りですが,高速代をケチって山陽道宮島SICから県道30号→国道186号を通りました。(500円ほど浮きました)
MRC乗馬クラブの駐車場を通り過ぎ,奥に進むと天端への入口があります。僕はここで車を停めましたが,未舗装でもOKの車なら天端真横まで行けそうです。
やけに芸術的な案内板。
堤体の中にコンクリートの心壁があるという。貯水容量は公認ダムの中のアースダムでは最大。そのぐらいしないと水圧に耐えられない計算だったのでしょうか。
その心壁というのが外見では分かりませんでした。天端に渡る橋げたの下に周りと違うコンクリートが見えますが,これじゃないよね。。。
先達の皆様のレポートでは,天端入口には鎖がかけてあり入れなくなっているとのことでしたが,訪問時には鎖はかかっていませんでした。(というわけで入ってみます。)
高さ30センチもないコンクリ製欄干は昭和7年竣工当時のものではないでしょうか。昭和初期のダムによくあるデザイン。パイプの柵は後付けでしょう。
洪水吐は,橋を挟んでS字にカーブを描きながら流す仕組み。減勢するためかな?
天端に沿って導水管が設置してあります。
天端や堤体斜面のところどころにこうした札が立っています。下にはコンクリートの杭が打ち込んであって…他のアースダムでは見かけない物。心壁と関係があるのかしら?
貯水池はかなり水位を下げています。
おかげで斜樋の取水口や維持放流用の取水口を見ることができました。
斜樋はほぼむき出しに。かろうじて下の取水孔が水音を立てて吸い込んでいました。
ここの斜樋は小屋がありません。おかげでスピンドルの様子がよく分かります。
下流側。アースダムにしてはちゃんとした減勢工がつくられています。
左岸側から堤体斜面。右岸側からはフェンスがあって入れませんが,左岸側からなら入れてしまいます。こういうことが中電のダムではままあります(笑)
堤体下。維持放流の出口工。管ではなくトンネルというのがいいですね。
ちょっとした副ダム。いままで見たアースダムで最も豪勢なつくりだと思う。
堤体下に下りる途中に見つけたキノコ。いわゆるサルノコシカケというやつ?
右岸側の少し高い位置から。あえて苔むした木を入れてみました。湿気があり,それでいて凛とした空気に包まれています。
堤体全景。天端は75.8mと県内のアースダムの中ではコンパクトですが,カーブして下る余水吐の導流路と,きちんとつくられた減勢工。見えない心壁。設計・建設に携わった人の「誇り」を感じます。
3月半ばだというのに,山の中はまだまだ冷えていて,写真を撮る指もかじかんできました。しかしそんなことで弱音を吐いていては,この戦前生まれのダムに叱られそう,そんな気がしてきました。
冴え返る 飯ノ山に襟正す
公認ダム全踏破まであと7基