期間限定公開ダムめぐりのもう一基は三永ダム(場所)です。
上水・工業用の重力式コンクリートダム
先に訪れた本庄ダムは,県道から遠目に堤体を見られるのに対して,こちらの三永ダムは東広島市の中心近くにありながら,敷地はフェンスで厳重に包囲され,さらに堤体周囲は小高い丘に囲まれていて,普段は敷地外から見ることができません。
RPGで言えば最初の街なのに終盤で手に入る鍵がないと入れない部屋みたいな。
お昼前に到着したにも関わらず、駐車場はガラガラ。やはりコロナで飲食を伴う花見が禁止となっているせいですかね。
水源地入口の向かいにある臨時駐車場に車を停めていざ入場。所在地は東広島市でありながら、施設は呉市の管轄。看板の「呉市」の後の黒塗りが気になる。。。
本庄と同じく受付で記名・消毒をして入場。
呉はもう葉桜になりかけていましたが,東広島は標高が高いせいかちょうど満開です。
そんな桜を横目に僕は花より堰堤めがけてまっしぐら。
案内板を確認。県のページでは堤高「18.7m」だけど、こちらは「14.2m」と。ダム便覧の情報の方が正しいようです。(15m未満なので河川法上のダムに当たらず,ダム便覧では参考掲載となっています。)
昭和18年ということは戦時中。呉市の水不足解消のために…とあります。戦時中の呉は大和を建造した海軍工廠の町。当時は一時人口40万人(現在の人口の約2倍)だったそうで,そりゃ水不足になりますよね。
それにしても,呉市水道局のことを東広島市教育委員会が解説するって…
桜と藤棚の並木道の奥に堰堤があります。堰堤付近は残念ながら立入禁止。最大限近付いて観察します。
本庄よりも堰堤のカーブは急です。中央にむき出しの取水設備があります。
天端の欄干は本庄と同様に上流側が高くなっています。典型的な昭和初期のコンクリートデザイン。本庄と違って下流側にも意匠が施されているのが特徴的。階段上部の柱には電灯が載っていたような跡があります。
堤長100mは当時としては巨大だったそうで。
堰堤は国の登録有形文化財。本庄の「重文」に比べると1ランク下がる扱い。しかしこの欄干は一見の価値あり。
堤体下の様子。左は浄水場へ送る設備かな? 右は溢水を黒瀬川に流す導水路と思われます。
上流側に目を移します。左岸の奥に溢水堤があるはずです…よく見えません。右岸側にはボートを格納する引きこみがあります。
貯水池の風景。ところどころ水質維持のための曝気装置が泡を吹かせています。
よく見るとここにも「水神様」? 本庄と違ってこちらは陸続き。老朽化して痛々しい姿。呉市さん,ちゃんと直してあげてください。
敷地内を散策しながら戻ります。水道関係っぽいものが無造作に。スーパーマリオの世界のよう。
所々に設置されているベンチは何と天端の欄干をモチーフにしています!(堰堤を見た人でないと気付かないでしょう。)
黒瀬川からの導水路。この時は取水していなかったようで,水がよどんでいました。
せっかく満開なので,最後に桜も撮っておきます。枝垂桜の向こうには藤棚が見えます。藤の季節もきれいなんでしょう。
この日は春と言うより初夏の陽気。ヒートテックにセーターを着てきたら汗だくに。
おまけに車に戻ったらカメラのレンズキャップがないことに気付く。望遠に付け替える際に落としたみたいです。_| ̄|○
今さら探すのも億劫だし…今日は貴重な堰堤の姿を拝めたということでよしとしよう。
春暑し 三永の池の拝観料
美しい堰堤の風景の対価は汗とレンズキャップです。
広島県公認ダム全踏破まであと3基!