新見のダムめぐり,本日最後は河本ダム(場所,訪問日:2022.9.25)
洪水調節・工業用水・発電用の中空重力式コンクリートダム。
堤体内部が空洞になっている中空重力式は日本には現在13基しかないダム。もちろん初訪問なので楽しみです。
まずは天端から。昭和中期らしい質素なつくり。
高欄はなぜかピンク
教科書のお手本のような毛筆体
そしてここにはっきりと中空重力式の文字が。
空洞は外見上分からないのですが,普通の重力式と見分けるポイントは二つ。
一つは堤頂ぎりぎりまで傾斜している下流面。
そしてもう一つはダイヤモンドヘッドと呼ばれる上流面の出っ張りです。
Iの字型のコンクリートブロックをいくつも積み重ねるためこうした形になるようです。
天端からはラジアルゲートがよく見えます。
発電系ダムのわりに天端はすっきりしていると思う。
上流から見たラジアルゲート。全開時には天端の上までゲートが上がるようです。
発電ダムなのでこうした取水設備も。昭和の設備は何かとでかい。
今日見た中では最も濁っているダム湖
シンプルな減勢工。
こうやってカーブをつけるのもいかにも昭和っぽい。
下流の眺め。朝は肌寒かったけど,さすがにまだ9月なので日が昇ると暑くなってくる。
千屋ダムの管理事務所を見た後なので,現実に引き戻された感。本来ダムの管理事務所はこんな感じよね。
ひっそりと慰霊碑が。この時代はまだまだ事故が多かったのでしょう。
堤体下に下りてみました。天端近くまで傾斜してるのでいつものダムとは違った感じに見えます。
堤体下に下りる道の途中は,ゲートと同じ高さになる所もあるのでこうしてゲートをよく見ることができます。
コンジットのハウエルバンガーバルブ。微妙な位置にあります。
この日は地元の方が堤体脇の斜面の草刈りをされていて,おかげで堤体を間近で見ることができました。ありがたや。
コンクリート節約のためにつくられた中空重力式は,コンクリートが安価になった昭和後期にはつくられなくなり,この先もつくられることはないようです。貴重な土木遺産になるかもしれません。
さて,このあと小阪部川ダムにも行きたかったけど,わりと大きめのダムばかりめぐったので,一基に時間がかかってしまい,ここで断念。
これ以上遠くに行くには,泊りで来るしかないか???