ダム便覧掲載のダムのうち,広島県内で位置未確認となっているダムの1つ,「仮屋谷池」について調べてみました。
ダム便覧記載の諸元等は次のようになっています。
〇所在地:広島県三次市
〇河川:江の川水系大谷川
〇目的/型式:A/アース
〇堤高/提頂長/提体積:15.7m/50m/24千㎥
〇総貯水量/有効貯水量:91千㎥/91千㎥
〇竣工:1958
当然のことながら県の農業用ため池データベース(R3.7現在)にはそのような名称の池はありません。
まずネットで「三次市 仮屋谷」と検索すると,いくつかヒットする内容があり,仮屋谷は灰塚ダムのすぐ下流から北方向にのびる谷で,県道441号線がその谷に沿うように走っていることが分かりました。
(国土地理院地図)
地図上に「仮屋谷」という記載こそないものの,「仮屋迫」という地名はあり,北から谷間を流れてくる川の名を調べると「仮屋谷川」であるこことも分かり,この谷が「仮屋谷」といえそうです。
そして「全国農業用ため池マップ」で調べると「七塚池」という池が諸元的に仮屋谷池に最も近いことが分かりました。
七塚池の諸元は次の通りです。
〇所在地:広島県三次市三良坂町大字仁賀11531-3
〇堤高/提頂長:14.2m/50m
〇総貯水量:99千㎥
堤高こそ1.5m違いますが,提頂長や貯水量からすると非常に近いと言えます。
七塚池の竣工時期は分かりませんが,国土地理院の空撮画像を見比べると…
1948年(左)には谷に沿った道(黄色)しかありませんが,1964年(右)の画像には七塚池(水色)ができ,それを迂回する新道がつくられていることが分かり,仮屋谷池が1958年竣工という情報と矛盾しません。(残念ながら1958年前後の画像はありませんでした。)
このようにみると,仮屋谷池=七塚池とみてよいのではないか,というのが僕の見立てです。
ただこれが正しいとなると,七塚池は堤高15mに満たず,ダム便覧から消えてしまいますけど…。