ダムのほそ道

広島県内(とその近県)のダムの訪問記録です。

63 柴木川ダム

4月も下旬。広島県公認ダムめぐりもいよいよ最後となりました。

 県最北西部の三段峡の入口と最奥にある2基のダムをめぐりました。

 まずは入口手前にある柴木川ダム(場所

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昭和29年竣工の発電用重力式コンクリートダム

 

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上流側の公園に車を停めて散策開始。

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中電による誰向けか分からない解説板。ダム好きにはありがたいです。

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いざ GO to TEMBA!

 

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何やら古いものと新しいものが混在している様子。

 

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このコンクリート欄干の意匠は昭和初期の雰囲気を残しています。

 

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そしてクランク。渡ノ瀬ダムと似たつくりです。

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決して大きくはないけれど,天端では圧倒的存在感を示すゲートピラーたち。

 

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この無骨なつくりがいい。

 

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分厚いローラーゲート。シンプルな薄いグレー。

 

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ゲートの巻き上げ機の置かれた建物はコンクリが白いので,わりと最近建て替えられたと考えられます。

 

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カーブをつけるのは戦前ダムの名残なのか。昭和中後期のダムになるとみられなくなります。

 

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こちらは排砂ゲートの機器。むき出しのわりに錆びてないので比較的新しい物ですね。

 

…と観察していると突如「ウインウイン」と機械音がして,放水のような音が聞こえてきました。

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水位計と量水機の間に架かるパイプから散水が始まりました。虹がかかって何かのパフォーマンスを見ているようです。ただ,この散水が何のために行われているのかは分かりませんでした。

 

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上流側。観光バスを久々に見ました。この先に景勝地三段峡の入口があります。

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右岸に来てみると,あれ? こっちがフェンスの内側(立禁)? こういうよく分からないガードは中電ならではです。…というわけで,フェンスの横を通って下に下りてみます。

 

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下から見ると城壁のような堤体。ダムと言われなければ遺跡かと思ってしまいそう。

 

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ゲートと天端を間近で。天端はよく見ると少し湾曲しています。

 

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要塞みたいでかっけー!!

 

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対岸の別角度から。錆びの出たコンクリと白いコンクリのコントラスト。完全にレトロでないところがまた魅力的です。

 

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堤高15.5mの小さなダムですが,巨大なダムにはない味わいがあります。

 

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維持放流は飾り気のないトンネルから。

 

 

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 天端の右岸側は昼間でも日が当たらないようで,苔むしていました。

↓こうすると某大分むぎ焼酎のCMに使われそうな雰囲気です(笑)

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ところで,ダム名はダムによって堰き止められる柴木川から付いているのだと思いますが,読み方は県の看板にあるように「しばきがわ」でよいのでしょうか?

 

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というのもダムのすぐ上流に架かる橋のプレート。くずし字ですけど,たぶん「しわぎはし」って書かれてるんですよね。

 

国土地理院の地図で確認すると,この辺りの地名は「柴木」と書いて「しわぎ」と読むようです。

 

だとすると川の名前もダム名も「しわぎがわ」が正しいのでは? どうなんでしょう。

 

いろいろ謎の残るダムです。

 

春の虹を 架ける柴木よ 君の名は  

 

公認ダム全踏破まであと1基!

62 土師(はじ)ダム

本日は単発のダム活,行き先は土師ダム場所)です。

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多目的(治水・灌漑・上水・工業・発電)の重力式コンクリートダム。これだけ目的をもつダムは県内では土師ダムだけです。

 

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まず下流側から正面を。正面に正対して撮影できるのは,下流側の久保橋付近のみでした。

 

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県内では中規模クラスのダムといえますが,副ダムらしきものは見当たりません。

 

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ちょっと近付いてゲートをアップで。薄いグレーのクレスト用ラジアルゲート,赤はオリフィス用のラジアルゲート。オリフィスは堤体にスリットを入れたような形で設置されています。

 

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堤体上部にはマスコットキャラが描かれています。右は「はじ丸くん」というそうです。左は不明です。「はじ丸子」?

 

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天端に上がってみました。ゆったり目のいたって普通のつくり。なぜか上流側の欄干のコンクリートの方が白い。後から作り直した?

 

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3階建ての立派な管理事務所。山田川ダム同様,いやそれ以上にツバメの巣がいっぱい。

 

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玄関に入ると,ブロックでできた土師ダムがお出迎え。堤体の再現性はともかく,やたら下流側を作りこんでいるので,何か構造物のヒントがあるかもしれません。。。

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上流側の八千代湖。湖畔にスポーツ、レクリエーション施設が整備され,ダム湖100選に選ばれています。

 

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ゲートの操作室。ダム便覧やダムカードでは原色の黄色だったのが上品なクリーム色に塗り直されたようです。

 

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下流の眺め。のどかな田園風景が広がっています。

 

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堤体は50mの高さ。クレストからの傾斜が緩やかにつくられているのでそんなに高く感じませんでした。

 

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天端の欄干に数メートルおきにこんなものが。昼間に太陽光で蓄電する夜間灯?

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右岸側には展望台があったので息をきらせて昇ってみました。堤体がくの字にカーブしているのがよく分かります。

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展望台からだと利水放流バルブがよく見えました。(右)

 

展望台を下りてから脚立を展望台に忘れたことに気付き,再びのぼる羽目に…

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2回目に上る途中で藤みたいな花が咲いていることに気付き,堤体をバックに1枚。藤って上から房のようにぶら下がっているイメージだったから違うのかな?

 

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中央は水没地域住民の氏名を記した碑。左の諸元などを刻んだ碑は,横から見るとダムっぽい形(右)をしています。意識してこの形?

 

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左岸の駐車場の裏にこんな看板を見付けたので下りてみると…

 

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堤体真下の広場に出ました!

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これだけの規模のダムで堤体に直接触らせてくれるとはなかなかサービス精神旺盛!

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放流見学用のリフト? なお,カラーで見るとはじ丸君のパンツ(?)は,堤体をデザインしたものであることが分かります。

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巨大なクレストゲートは堤高の1/3ぐらいあるように見える。(実際は1/5ぐらいらしい。)

 

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管理用トンネル「お入りください」なんて期待させつつ,さすがに鍵がかかっていた。無念。

 

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土師ダムの特徴の一つである低位放流設備。階段からのぞき込んで引張りラジアルゲートの姿を捉えてみた。曲線が美しい。

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上流側に見通しのよさそうなポイントが見えたので自転車に乗り換えて移動し,ダムサイトとゲートを撮る。

 

そのままサイクリングがてらダム湖を周りました。コロナにも関わらず湖畔ののどごえ公園付近は多くの人でにぎわっていました。

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サイクリング中にひっそりとたたずむ中電の分水取水塔を発見。

 

朝昼の気温差の大きい,春らしい天気の中,およそ8キロのサイクリング。下りは風がひんやりして気持ちよいのですが,上りは暑くて暑くて…

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実は,かれこれ20年以上前,社会人として新人の頃,仕事で年に数回この付近を訪れていました。八千代湖を見ていると,失敗だらけだった当時のことを思い出します(笑)

 

まあ,今日も展望台に脚立を忘れたり,サイクリング途中でマスクを車に忘れたことに気付いて引き返したり,あまり変わっていないかもしれませんが…

 

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若草のはじ(土師/恥)多き日々思い出し

 

 公認ダム全踏破まであと2基!

61 三永ダム(三永水源地堰堤)

期間限定公開ダムめぐりのもう一基は三永ダム(場所)です。

上水・工業用の重力式コンクリートダム

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先に訪れた本庄ダムは,県道から遠目に堤体を見られるのに対して,こちらの三永ダムは東広島市の中心近くにありながら,敷地はフェンスで厳重に包囲され,さらに堤体周囲は小高い丘に囲まれていて,普段は敷地外から見ることができません。

RPGで言えば最初の街なのに終盤で手に入る鍵がないと入れない部屋みたいな。

 

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お昼前に到着したにも関わらず、駐車場はガラガラ。やはりコロナで飲食を伴う花見が禁止となっているせいですかね。

 

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水源地入口の向かいにある臨時駐車場に車を停めていざ入場。所在地は東広島市でありながら、施設は呉市の管轄。看板の「呉市」の後の黒塗りが気になる。。。

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本庄と同じく受付で記名・消毒をして入場。

 

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呉はもう葉桜になりかけていましたが,東広島は標高が高いせいかちょうど満開です。

そんな桜を横目に僕は花より堰堤めがけてまっしぐら。

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案内板を確認。県のページでは堤高「18.7m」だけど、こちらは「14.2m」と。ダム便覧の情報の方が正しいようです。(15m未満なので河川法上のダムに当たらず,ダム便覧では参考掲載となっています。)

 

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昭和18年ということは戦時中。呉市の水不足解消のために…とあります。戦時中の呉は大和を建造した海軍工廠の町。当時は一時人口40万人(現在の人口の約2倍)だったそうで,そりゃ水不足になりますよね。

それにしても,呉市水道局のことを東広島市教育委員会が解説するって…

 

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桜と藤棚の並木道の奥に堰堤があります。堰堤付近は残念ながら立入禁止。最大限近付いて観察します。

 

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本庄よりも堰堤のカーブは急です。中央にむき出しの取水設備があります。

 

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天端の欄干は本庄と同様に上流側が高くなっています。典型的な昭和初期のコンクリートデザイン。本庄と違って下流側にも意匠が施されているのが特徴的。階段上部の柱には電灯が載っていたような跡があります。

 

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堤長100mは当時としては巨大だったそうで。

 

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堰堤は国の登録有形文化財。本庄の「重文」に比べると1ランク下がる扱い。しかしこの欄干は一見の価値あり。

 

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堤体下の様子。左は浄水場へ送る設備かな? 右は溢水を黒瀬川に流す導水路と思われます。

 

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上流側に目を移します。左岸の奥に溢水堤があるはずです…よく見えません。右岸側にはボートを格納する引きこみがあります。

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貯水池の風景。ところどころ水質維持のための曝気装置が泡を吹かせています。

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よく見るとここにも「水神様」? 本庄と違ってこちらは陸続き。老朽化して痛々しい姿。呉市さん,ちゃんと直してあげてください。

 

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敷地内を散策しながら戻ります。水道関係っぽいものが無造作に。スーパーマリオの世界のよう。

 

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所々に設置されているベンチは何と天端の欄干をモチーフにしています!(堰堤を見た人でないと気付かないでしょう。)

 

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黒瀬川からの導水路。この時は取水していなかったようで,水がよどんでいました。

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せっかく満開なので,最後に桜も撮っておきます。枝垂桜の向こうには藤棚が見えます。藤の季節もきれいなんでしょう。

 

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この日は春と言うより初夏の陽気。ヒートテックにセーターを着てきたら汗だくに。

 

おまけに車に戻ったらカメラのレンズキャップがないことに気付く。望遠に付け替える際に落としたみたいです。_| ̄|○

 

今さら探すのも億劫だし…今日は貴重な堰堤の姿を拝めたということでよしとしよう。

 

 春暑し 三永の池の拝観料

 

美しい堰堤の風景の対価は汗とレンズキャップです。

 

広島県公認ダム全踏破まであと3基!

60 本庄ダム②(水神さま編)

期間限定公開の本庄ダム。右岸天端付近に上がってみます。

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上がってすぐの場所に本庄浄水場跡があります。「跡」とはいえ,入れませんでした。

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「中庭」と呼ばれるダムサイト。中央のテントは受付。コロナ対策で住所氏名を書き手指消毒をするように言われます。テントの向こうに桜が十数本植えられていて花見客のほとんどはそこで写真を撮って帰っていきます。

 

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さて,「ダム見客」は天端に到着(笑)残念ながら天端は立入禁止。

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こうしてみると堤体がゆるいカーブを描いているのが分かります。上流側の欄干は石づくりですが,下流側は鉄柵で簡素。鉄柵は後付けでしょうか。

 

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尾道の久山田ダムといい,この本庄ダムといい,大正生まれのダムは建築としての価値があると思います。

 

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こういう細部のつくりこみとか。これだけ価値があるものを普段から公開してくれたらよいのに。

 

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貯水池の風景。中央にぽっかり浮かぶのが…

 

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「水神様」と呼ばれる祠。職員さんが「水神様は外からは見れんけえ,今だけよ!」とやたら推しておられました。せっかくなので桜の額縁で有り難く。

 

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後世に造られたいろいろアピール石碑。この貯水池はダム湖100選に選ばれています。

 

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堰堤中央部の取水設備。堰堤は洋風なのにここだけなんとなく中華っぽい気がするのは僕だけ?

 

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堤体下の風景。向こうに焼山の街並みが見えます。

 

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洪水吐を見るために一旦県道に出て,川沿いに歩きました。「溢水式」(堤防がないのところで水があふれること。「越水」とは違う。)とのことです。中央にゲートらしきものものがありますけど?

 

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県道はかなり車や人の通りが多かったのですが,高瀬堰の時と違って脚立をかついでカメラを構えていても恥ずかしくないのは桜のおかげです。そう,僕はサクラノキを撮っているんですよ~本当はコウズイバキですけど~って。(;´∀`)

 

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と思ってファインダーを覗いていたら,洪水吐上を通りかかった職員さんと目が合ってしまった(/ω\)

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歩いて戻る途中に見かけたツツジの植え込み文字。ところどころ枯れてなくなったようで,解読すると「水を大切に」かな? 花も大切にね!

 

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二河川に沿ってさらに上流に行くと取水堰堤などが見られるようですが,今回はこれにて(そこはいつでも見られそうだし)。

重文だけあって見ごたえ"十分"でした(失礼)

普段は非公開なので「秘すれば花」的な付加価値もあるかもしれませんが。

 

本庄に 花見ぬ花見客ひとり

本当はもう一人それっぽい方がいたのですけど…。勝手に「同志」と思うことにします。

 

広島県公認ダム全踏破まであと4基。

60 本庄ダム①(重文散策編)

本日のダム活は,「期間限定公開」のダムめぐり。

 

本庄ダムと三永ダム。どちらも中規模都市の郊外にあってアクセス容易でありながら,水源地ということで普段は立入禁止。

 しかし,春の花(桜・藤)の時期だけは限定的に一般開放されるのです。

去年はコロナで開放中止。今年はどうなることかとヒヤヒヤしていましたが,公開範囲と日数を縮小して開放とのこと!!

 

縮小されてもダムさえ見られればいい。

そう。僕にとっては"花より団子"ならぬ「花よりダム」です。

 

…てなわけでまずは本庄ダム場所

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大正7年竣工の上水用重力式コンクリートダム

ストビューで予習したのに県道からの入口を見落とし,2回通り過ぎて行きつきました。

 

 

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9時開門とのことで,混むかもしれないと思い,8:30に到着したら1番乗り。開門10分前になって,後ろに2台並びました。

規模を縮小したのと,飲食禁止にしたので花見客は少ないのかもしれません。

 

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8:58 職員さんが出てきていよいよ2年ぶりに開門です。ドキドキします。

 

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車を停めてまずは堤体を拝みます。花崗岩に覆われた堤体は国の重要文化財に指定されています。西洋建築のような重厚感のあるバットレスが美しい!

 

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洪水吐自体は,右岸側の上流部分にあるので,これはかつての取水の出口工でしょうか。職員の方に聞いたら,現在は導水管で送水しているそうです。

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開設によると重文は堰堤だけでなく,周囲の設備も含めてのようです。

 

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その重文の一つの丸井戸。職員の方曰く,緊急用に二河川から直接取水してためる場所らしいですが,今まで一度も使われたことがないとのこと。毎度のことですが,ゼルダの…

 

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第一量水井の設備。これも重文の一つ(量水井は水の量を計ったり,調整したりする設備。)

 

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堰堤に上がる途中で桜越しに一枚(中央は重文の階段。立入禁止になっている。)一応,花見シーズンですからね。

 

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こちらはダムの建設に伴って付け替えられた二河川。ダムの高低差に合わせてカスケード状になっています。この日は流量が少なく桜の花びらがへばりついてピンクになっています。

 

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職員さんの説明では,二河川にかかる橋付近のこれらが先ほどの丸井戸に取水する設備のようです。

 

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橋げたをくぐって階段を上がるといよいよ堰堤上部です!!(つづく)

59 芦田川河口堰

本日は午後半休を取って芦田川河口堰(場所)へ。

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県内のダムカードをコンプリートするためには,堰も訪れる必要があるのです。沼隈地区のダム(八日谷・熊野・光林寺)をめぐった時に足を延ばせばよかったんですが。(その時はダムカード休止中だったので)

 

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まずは管理事務所でダム(堰)カードをもらいます。

 

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夜景とはなかなか洒落たデザインですな。

 

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この日は北風が吹きつけ,時折雨もぱらつく寒い日。冬のジャンパーを引っ張り出して散策開始。

 

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人はおろか車もあまり通らない天端は,身も心も寒いっ!!

 

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ダムカードにはローラーゲート6門とありますが,プレートによれば他にローラーゲート6門,フラップゲートが11門あるようです。ご立派な堰ですね。

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だ…弾力的放流中? 河川の維持を目的に洪水調節に支障を来さない範囲で,貯水を一部放流することです。(ダム便覧の受け売りw)

 

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で,これが弾力的放流と思われる様子。う~ん。ダムの放流みたいなのを想像してたら全然違いました。もうちょっと潮が引いている時だったらよかったのかな。

 

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天端から河口方面。寒いけど気持ち良い眺め。右岸側の半島状になった所の向こう側に,「ぽにょ」で有名になった鞆の浦があります。

 

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堰から河口付近は汽水域で魚が多いのか,鳥たちの楽園です。

 

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主ゲートを上から撮りました。上流側からのゴミがたまっています。

 

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芦田川は中国5県の1級河川の中でも水質は最低ランクらしい。水量が少ないわりに流域の都市化したのが原因のようです。

 

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竹ヶ端運動公園側の小さめのゲートはよく見えます。見ると,ゲートの内側に魚が。逃げられないほどの速度でローラーゲートが上がるとは思えないので,死んでゲートに引っかかったままになったまでしょう。

 

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堰荘は操縦中みたいで,職員さんが中に入っていき,その後弾力的放流が止まりました。中も見たかったなぁ。(もちろん立入禁止です。)


 

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竹ヶ端側の2門の堰荘には別の番号が振ってあります。ところでなぜ斜体文字?

 

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描いた人,ロックマン参考)やりこんだ世代だろう。(それは僕か…)

 

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カードと同じ構図で撮ってみた。こうしてみると現代アートみたい。

 

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左岸に戻って,魚道というのはこれのこと? ローラーゲートだから違うかな。

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最後に水鳥目線で。川幅が広いせいか流れているようには見えず,堰と言うより岸壁。これが川なんて鳥や魚は分かるでしょうか。

 

河口の浅瀬には鳥が集まり,少し先には景勝地鞆の浦」。一方で,ゴミも浮かべつつも臨海工業の水源となってきた上流側。

 

寒戻り 芦田川堰に芥(あくた)見る


桜も咲いてすっかり春だな~と思ったらこの寒さ。季節も社会もそんなに単純ではありませんよね。(堰なので残り5基のまま。)

 















 

 

 

 




 

58 立岩ダム

県北西部のダムめぐり。この日最後は立岩ダム。(場所

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鱒溜ダムと同年(昭和14年)に造られた発電用の重力式コンクリートダム

アクセスは鱒溜ダムからそのまま県道296号5.7キロほど上流に行ったところ。車一台分の林道でところどころ離合場所があります。駐車スペースは無人の管理事務所の横に4~5台分ぐらい。

 

この日はバードウォッチャーとおぼしき人々がそこここに望遠鏡やカメラを構えていました。(貴重な野鳥がいるのかな?)

 

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天端には県道から坂道を歩いて下りていくことになります。何だかワクワクしますね。

 

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まずは堤体を左岸から。戦前7番目の高さで土木学会の…2000選になっている,という話はダム便覧や先人の皆様が詳述しているので割愛。

 

堤体といい周囲の様子といい何となく高暮ダムに雰囲気が似ています。つくられた時代も近いからか。

 

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天端は開放されています。6門あるゲートは右岸側に寄っており,欄干は戦前ダムらしい意匠は見られません。割とあっさりしたつくり。

 

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天端の街灯は2種類。左の物は天端の両端だけに設置されています。唐傘おばけみたい。

 

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天端から見下ろしてみます。堤体下へアクセスする道は見られません。ダム便覧でも正対した画像がないので,「自力」でも困難なのでしょう。残念。

 

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ゲートの上は設備とガードレールに阻まれて真下が見えません。

 

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すきまから意地で何とか。維持放流はどこからしているのか。。。

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そのまま意地で撮ったラジアルゲートの一部。言われなきゃ何が何だか分からない画像ですね。

 

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上流側に目を移すと別のマシンが。維持放流用の取水設備かな? 日立造船が製作しているようです。

 

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網場が途切れているので取水口付近にゴミがたまっています。大丈夫なのか?

 

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貯水池にぽっかり浮かぶ島。貯水池になる前の地形がどうなっていたのか(つまりこの島の水面下の部分が)気になります。

 

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右岸の取水設備。割とゆるゆるガードの中電ですが,ここはさすがに入れなくなっています。

 

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右岸の湖畔を歩いていて見つけたもの。宇宙人!?(左),化石!?(右)

 

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ラジアルゲートを左右岸からねらってみますがどちらも木の枝の途切れるところがなく,なかなか撮らせてくれません。

 

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天端はオープンで気前がよいのですが,よく見たいところが見えなくてかえってもどかしさを感じさせます。せっかく山奥まで来たのに…と思ってしまいます。

 

平地は晴れの予報だったのに,やはり山間部の天気は分かりませんね。どんよりとして雲行きが怪しくなってきたので,本日のダムめぐりははこれにて終了。(天気が良ければ柴木川ダムも行きたかったのですが。)

 

悶々と歩く立岩 花曇り

 

公認ダム全踏破まで残り5基