公認ダムのうち,灌漑用としてはこれが最後になります。椛の木ダム(場所)
東映カントリーというゴルフ場の奥にあるアースダムです。
だいたいこれまでのダムは天端の右岸又は左岸横に直接道がついていることが多かったのですが,このダムは堤体の下から斜めに道が横切って登るというつくりになっています。
洪水吐からの導水路。わりと細めですね。
その下流方向。
その先に小さな水門がありました。排水の本流より一段高いところにあります。
水門の位置まで下りてみると,洪水吐からの導水路と堤体下を通る底樋が合流していました。となると水門は排水のための門なのか取水のための門なのか?
天端へ続く斜めの道を歩いて上がってみました。
どんな池かな…と思いながら天端に上がってみると,そこには衝撃の光景が!!
み…水がないっ!! 砂漠のような窪地が広がっていました。
斜樋はむき出しになり,底はひび割れています。湿っているところもありますが,水を抜いてから時間が経っているようです。
天端を挟んで一枚。どっちが下流か分からないほど。
農期が済んで水位を下げているため池は今までも見てきましたが,ここまで空っぽなのは初めて見ました。
底に下りてみました。さすがに,本来の川の流れはあるようです。それにしてもかなりの土が堆積しています。周囲の山に土砂崩れの痕跡があるので,おそらく平成30年の豪雨災害の時に大量の土砂が流れ込んだと思われます。
利水放流のゲートまでむき出しで,堤体上流側の様子がよく分かります。ピラミッドの入口みたいですね。
暗くてよく見えませんが,ゲートはわずかに開いていて,川の水はたまることなく流しているようです。
普段は見られない斜樋の先端部分。あの斜めのパイプの中に水を通しているのかと思ったら,取水孔の蓋を開閉するための棒だったとは。今まで勘違いをしていたことに気付きました(/ω\)
洪水吐。2年以上も経つとさすがにここには土砂はありません。下流の安全に関わるので優先的に取り除いたのでしょう。
ところで「椛の木」はダム便覧で「かわのき」となっているので,それに従いましたが,漢和辞典では「椛」に「かわ」という読みはなく,「かば」(白樺などのカバ)か,「もみじ」と読むそうです。
このあたりの地名や川の名とは関係なさそうなので,「もみじ」や「カバノキ」の林がある(あった)のかな? と後から思いましたが,木まで観察していませんでした。
「もみじ」なら広島っぽいですが,「カバ」がなまって「かわ」になったという方が自然な気もします。管轄の吉川土地改良区に聞いてみようかな。
それにしてもこの時期(2月)にこんなに水を抜いていて,春からの農作業に間に合うのでしょうか? それとも小野ダムのように浚渫工事をこれからするのでしょうか? などと一面チョコレート色になった世界を見て思うのでした。
椛の木の底現れてバレンタイン
公認ダム全踏破まで残り14基