昭和17年竣工の発電用重力式コンクリートダムです。
ダム便覧を見ると余水吐から越流している画像は1枚しかないので,結構ラッキーなタイミングで訪問したのかもしれないと思いました。
尾原ダムからのアクセスだったので県道51号を西から入りました。ところどころ広いですが,ほとんどこんな林道コースです。帰りに通ったダムより東側の方が道幅が広くなっています。
右岸側に駐車できるスペースがあります。中国電力のダムにしてはガードが厳しく,下流側は有刺鉄線つきのフェンスで囲まれています。
脚立に乗って有刺鉄線の間にファインダーを入れて撮ります。コンジットからも放流しているのが確認できます。
このアーチは戦時中でも意匠を凝らそうとしたのか,戦時中だからコンクリを節約したのか。
戦前ダムにはないことも多い水叩きがこのダムにはつくられています。しかもローラーバケット式で,画像では水があるので分かりにくいのですが,減勢工の上流側と下流側が少し上向きに反っていて,流水を回転させることで減勢する仕組みです。
天端の柱。このフォントは何というのだろう。なんかいいぞ。
発電ダムならではのクランクする天端。左岸側は取水設備意外は行き止まりです。
ゲートウィンチのある部分は立ち入れず。
河口堰のような横長のローラーゲートが2門。
ゲートピラーのコンクリはひび割れがあるものの,他の部分よりは新しそうなので戦後につくり直しているのかも。
ゲートピラーのヒビに化けて張り付いていたザトウムシ。蜘蛛じゃありません。
天端から見下ろす。まるでスキーのジャンプ台。
左岸側から。
発電ダムのこういう要塞チックなところが個人的にツボです。
排砂設備。スクリーンに草が生えるってどうよ。
排砂池。ここを通って取水設備に水が入ります。
取水設備。80年前の設備がまだ稼働しているところが素晴らしい。
ダム湖。というより川をちょっと堰き止めた感じ。柴木川ダムのような。
違う時期に設置されたと思われる電灯。左のタイプは立岩ダムにもありました。
ここで取水された水は北原発電所に送られます。(来た道を戻ることになるので今回は訪問せず。)てか,阿井川ダムのイラスト,現物と違いすぎるんじゃ…。
尾原ダムは開けた場所で温かかったけれど,こちらは谷間にあたり,さすがに空気がひんやりします。ダムの古めかしさともマッチ。
阿井川を滑る白糸の冷ややかさ
島根の初ダムめぐり。日本初のアーチ式ダム,最新技術のダム,戦前ダムとどれも違った魅力がありました。また来ようと思います。