東広島市安芸津町にある昭和池(場所)を尋ねました。訪問日:20211103
昭和19年竣工の灌漑用アースダム。県道32号から三津川に沿って集落を進んだところにあります。
池まであとちょっとというところで,あれれ? 周りを見れどお店はなく。しかしわざわざコーンまで置いているので仕方なく車を脇に停めて歩くことにします。
ほどなく,きれいに草の刈られた堤体が姿を現しました。県内に「昭和」と名の付く池はいくつかありますが,ダム便覧に掲載される規模なのはここだけです。
広島県のまとめた「農業用ため池一覧」では堤高26.5mです。ダム便覧では26.5mから18.1mと訂正されています。8mは誤差の範囲とは考えにくく,画像のように堤体が2段になっていることが影響しているのかもしれません。
天端は害獣防止柵がしてありました。
上流。農期が終わっているのでかなり水位を下げています。
洪水吐(左)と洪水吐からの放流路(右)。右岸の山からの小川の水が洪水吐に流れ込んでいるので,越水していなくても濡れています。
放流路を跨ぐ橋。昭和初期は完全コンクリの橋が多いので,朱色の鉄骨が珍しい。(後世につくり変えたのかな?)
堤体上流側。影になって見にくいですが,天端直下は1mほど石積みされています。
左岸の斜樋。階段と比べるとかなり急角度で取り付けられていることが分かります。
操作室はあるのにスピンドルは操作室内まで入り込んでいないようです。奥のはリールのように回すタイプ?
ほぼ垂直に感じられる斜樋。
この池の洪水吐にはスリットがあって越流の量やタイミングを調節できるようになっています。
スリットの板はよく見ると板上のブロックを積み上げたものです。これなら一人でも取り付けや取り外しができますね。
それにしても戦時中にも関わらずこれほど大きな池がつくられたのはなぜだろう。
昭和14年に大干ばつに見舞われたこと,昭和18年に周辺の町村が合併して安芸津町となったこと,明治以降の下流域では酒造りが盛んだったこと(つまり米が必要)などが考えられます。
昭和池の守りて来る新酒の香
あ~富久長(安芸津の酒)買って帰ればよかった!