神戸に日帰りで出かけ(ダムだけが目的ではなく)、前々から行きたかった神戸市内のダムを訪れました。
ダムファンであれば、みな崇める(であろう)布引五本松ダム。(2024.2.9訪問)
1900年(明治33年)竣工、日本で最初につくられた上水目的の重力式コンクリートダムです!
新幹線の新神戸駅の裏からハイキングコースを歩いて到着。
当時の工学大学校(現東大工学部)のバルトンの設計案では土の堰堤になるところを、水需要の急増に対応して、技術師の佐野藤次郎氏が粗石コンクリート積に変更。
120年以上前につくられたのに、阪神大震災にも耐え現在も使われているなんて、当時の日本の技術の高さを感じます。
歯飾りもついて、中世ヨーロッパの城壁のようです。思わずため息。
天端は立入禁止。柵越しに撮影します。
天端をよく見ると補強したりグラウトを注入したりした形跡があります。
震災後、2度にわたって漏水対策や強度補強、土砂浚渫の工事をしたもよう。
上流側の下の方は改修工事により補強されています。もともとの石積の景観にも配慮して工事をしたのだとか。
重要文化財(H10)、近代化産業遺産(H20)に指定され大事にされていることが分かります。
溢水式の放流路もあります。溢水部に架かる管理橋(ハイキングコースにもなっている)には、当初の建設時に使われた物資運搬用のモノレールのレールが使われています。
これですね。約125年前のレール…思わずなでてしまいました。
布引貯水池。いつもなら「コンクリートダムなのにため池規模です」なんてコメントするところですが、歴史の重みを感じずにはいられません。
戦前ダムによく見られる半円形にせり出した取水設備。最初のダムからそうだったのか~。
水没地にあった水車小屋の石臼。もしかしたら江戸時代からあるものかな。
ダム直下の浄水設備。今は使われていなそうですが。
ハイキングコースの途中にはダムからの取水経路が開設されていました。景観維持のため滝の水も少ない時はダムから流しているようです。
ダムから少し下ると100万都市神戸の街を見渡せます。さっきまでダムのあるような山の中にいたのに急に高層ビルを間近に眺められパラレルワールドのよう。
5つの時代に渡って神戸の街に水を送り続けているのですね。脱帽!
ところで、このダム日本最古のコンクリートダムですけど、もう一つ、おそらく日本一新幹線の駅から近いダムではないかと。新神戸駅から天端まで直線で756mです。