島根のダムめぐり,2基目は三成ダムから直線でおよそ6キロ西,同じ斐伊川に造られた尾原ダム。(場所)
治水,上水用の重力式コンクリートダム。平成24年竣工の比較的新しいダムです。
天端は右岸からでも左岸からでも車でアクセス可。天端の柱は「オロチ」を意識した意匠。しばしば氾濫を起こしてきた斐伊川の様子が「八岐大蛇」に例えられたのだとか。
平成後期のダムにしては珍しくモニュメントがいろいろ。さすが国営ダム。
天端は車の対面通行が可能でさらに上下流側に歩道がつくほどゆったり。
天端から下流をのぞむ。ゲート設備がせり出していて直下が見にくい。あれだけ広い天端なら,多少道を狭くしてでも天端上に設置しても良かったのに…と思うのはダム好きだけであろう。
それでも何とか隙間から導流部を捉えてみます。両サイドの導流壁が異様に高い。
ラジアルゲートの脚
別角度から下流を見る。よく見ると副ダムの水は直接流さず,一旦構造物の中に吸い込ませて流しているようです。
騒音防止のために,水中放流という仕組みになっているのです。そのほか連続サイフォン式取水設備といった新技術が用いられてコストを抑えています。目立たないけど随所に工夫されたダムです。
ダム湖の「さくらおろち湖」。ボート競技などの会場にもなるようです。左岸の構造物跡は建設に使われたものと思われます。
堤体上流側。手前の取水塔が連続サイフォン式取水設備になっています。連続サイフォン式は取水設備を真上に設置しなくても良いので,取水設備は下流側にせり出してつくられています。(だから眺めがよくないのですが…)
両サイドは洪水調節用,中央は水位維持用ゲート。水中放流ということはゲートはこれで開門状態?
立派な管理事務所。上流側にまわると展示室があり,ダムカードはその中でもらう仕組みになっています。
イベントやペーパークラフトの無料配布もあり,PRに力を入れている感じがします。
ペーパークラフトの上級編もできるそうで,リピートを促すあたり本気度がうかがえます。島根県はインフラツーリズムにも力を入れていると聞いたことがあります。
定礎石。治水目的だが,「水の恵みすべての人へ」というところに地域振興も含まれるのだという。
伝説のオロチの目から見えるのはどんな未来?
尾原ダム②に続く